本日紹介するのはポルトガルとスペインの国境沿いにある家。建築家 Davide Dominguesによってリノベーションされたこの住宅は、過去や現在、オリジナルの材料と新素材など相反する要素をうまく調和させ包み込んだ住まい。現代の生活空間の快適さと、伝統的なポルトガル建築が持つ居心地の良い雰囲気を組み合わせることで、両方の長所を備えた住宅となりました。さっそく見ていきましょう。
こちらが正面外観。石造りのラスティックで重厚な構造と、現代的な亜鉛鋼の屋根、ガラスの開口部という組み合わせがユニークな存在感を放っています。建築面積は約117平米、二つの建物とガレージ、そして庭があります。
裏手にある芝生の庭からのアングルです。敷地はポルトガル北部の農業やワイン生産が盛んな地域にあり、この地域特有の険しい地形と壮大な景色に囲まれています。建物も伝統的な農家の特徴を受け継いだデザインで、周囲の環境によく馴染んでいます。
住宅内部は直感的な動きを可能にする、非常にシンプルで機能的なレイアウトとなっています。手前の低いレベルに位置する建物は元々ワイナリーとして使用されていましたが現在はリビングルームに、奥の建物に寝室とバスルームを、二つの建物を接続する部分にキッチンとダイニングルームが配されました。
住宅内部を見てみましょう。こちらは大開口部が印象的なリビングルームです。屋根の形状に沿って三角形に取られた開口部と農家特有の大きな梁、石造りの壁が特別な空間を作っています。ラスティックでワイルドな構造とは反対に、家具は洗練されたモダンなデザインのものを使用するというギャップが、この家だけが持つ魅力をより高めています。
こちらはキッチンとリビングルームを眺めたアングルです。外観は元の建物が持つ伝統的な素材を維持しつつ、現代的な要素が加えられていましたが、内部も同様です。リビングルームは元の構造を生かしたよりラスティックな雰囲気ですが、キッチンが配された接続部分は白い壁と細いフレームの開口部、艶感のある壁面収納を備えたシステムキッチンなどとても現代的です。二つの空間をスキップフロアで違和感無くつなげたのが建築家の手腕です。
最後は家の側面からのアングルです。二つの建物がどう接続されているのかがよく分かりますね。過去と現在との関係、オリジナルの要素と新しい要素、その土地のアイデンティティなど、時に相反する要素も対立することなく調和し、完成した住宅です。