雑木林に囲まれた小さなテラスカフェ

K.Matsunaga K.Matsunaga
ひなた茶屋~雑木林の小さなカフェ~, 志賀建築設計室 志賀建築設計室 Eclectic style balcony, porch & terrace
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ここ数年は、住宅でも店舗でも「カフェブーム」が起こっていると言っていいほど、私たちの暮らしにカフェは欠かせない存在となりました。それはただ単にコーヒーやお茶を飲む場所というだけではありません。忙しい日々を送るうえでふと立ち止まるきっかけとなったり、非日常の時間を過ごすことや、あるいはインテリアや雰囲気を楽しむ場所としての機能を果たすこともあります。住宅においては「カフェ風」という言葉が生まれ、日常を過ごす空間にカフェのようなテイストや時間を生み出すことが求められたりもしています。カフェには現代の人々をほっとさせ、癒しの時間を提供する場所の象徴とも言えます。今回ご紹介するのは、鹿児島県の霧島川沿いに建つ木造のテラスカフェです。志賀建築設計室が手がけたこのカフェは、雑木林に囲まれ、訪れた人が遊歩道で散歩をしたり、子供たちと一緒に遊ぶことができる環境を備えた場となりました。

木造のナチュラルな佇まい

依頼主からの要望は、「アフリカのリゾートホテルのコテージのようなイメージで、木・石・土などの自然の素材感を出してほしい」という内容でした。この声を聞いた作り手は、緑豊かな周囲の環境も考慮し、木をはじめとする自然素材をふんだんに採用した建物を計画しています。基本構造を木造とし、周囲には割石をあしらったテラス、壁面は土壁とし、風合いや質感を楽しむことができる仕上げとなりました。自然の素材は、年月を重ねるごとに味わいを増していき、より味わいのある佇まいとして成長していくことでしょう。

広々空間を確保した構造

ヘキサゴン型の構造は、通常建物の中心に配置される柱をなくし、広々とした空間を確保できる形状となっています。そのため、柱の位置を木にすることなく自由な配置が可能な空間が実現しています。遮るものがないことで、より店主とゲストの心地よい距離を生み出すことができるでしょう。木造の屋根構造があらわになっていることで、より高い天井で開放感が実現しています。木の香りや色の変化を楽しむことができ、ほっと一息つきながら悠久の時間を過ごすことができる空間が生まれました。

自然素材を使ったやわらかな色合いの内装

外部、内部共に内装は自然素材がふんだんに採用されています。木のそのままの色や姿を楽しむことができる天井にはじまり、調湿効果や陰影を楽しむことができる土の塗り壁、サッシにおいても木造のものが使われ、人口の樹脂やアルミサッシと違い外観の味わいを損ねることがなく、ナチュラルでやわらかな印象に仕上がっています。テラスカフェでくつろぐ時間も良いものですが、こうして内部でも素材を楽しむことができる仕上げがより味わいを増しています。

ほっとする時間を実現する場所

外のテラスカフェのスペースでは、周囲の雑木林や緑に囲まれた環境で心地よい風を感じながらコーヒーを楽しむことが可能です。季節や時間帯に応じて、自然が見せてくれるさまざまな表情は忙しい日々の中で忘れがちな美しさを思い出させてくれることでしょう。そしてこのカフェでは、もちろん内部の席も素敵な時間が過ごせます。木造の窓からは外の移りゆく景色や木々の色を眺めることができ、土壁の美しい陰影は味わい深い時間を作り出してくれるようです。ラスティックな古材をあしらったテーブルからも、ゆったりとした時間の流れを感じ取ることができます。

遊歩道や遊具に囲まれた豊かな環境

このテラスカフェの周囲には、カフェとしてだけではなく散歩を楽しむことができる遊歩道も設けられています。豊かに茂った木陰のきらめきを楽しんだり、深呼吸をしながら散歩をすることで新たなアイデアや気分のリフレッシュを図ることができるでしょう。また、子ども連れでも楽しめるように、遊具や遊び場が近くにあることで、まるで公園のようなワクワクするスペースも設けられています。なかなか小さなお子様連れではカフェに行けないのでは、と思うお母さんたちにもとっても嬉しい配慮がなされています。休日に家族で訪れたくなる、そんな温かさのあるカフェはたくさんの人々に愛されるに違いありません。

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