三角屋根が印象的な森に佇む山荘

Michiko JUTO Michiko JUTO
043八ヶ岳原村Tさんの家, atelier137 ARCHITECTURAL DESIGN OFFICE atelier137 ARCHITECTURAL DESIGN OFFICE Scandinavian style houses Wood Wood effect
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森に佇む大きな三角屋根の家というと、ログハウスのようなアウトドアなイメージを思い浮かべがちですが、この山荘は法規や経済面などで制約されたとは思えないほどモダンで重厚な佇まいを見せています。本来建築の形態や要素は風土や生活習慣に発展してきたので、それらに順応することであるべき姿が生まれるのかもしれませんね。自然環境の中で素材にこだわった家づくりを得意とする建築家・ 鈴木 宏幸氏が手がけた八ヶ岳の山荘をさっそく見てみましょう。

意外と斬新な印象の切妻屋根

比較的ゆったりとした敷地ですが、別荘地における規制によって建築できる面積が限られていました。本来南面に開口を設け開放的な計画をしたいところを東西方向に長い敷地形状を生かして西面を開放的にしています。薄く仕上げた切妻屋根が斬新なイメージですね。道路側に面した妻壁にあたるファサードは閉じたデザインにしていますが、焦げ茶のシックなサイディングが光の加減で独特な質感を見せています。また角をキャンティれバーによって欠き込んだ形がユニークな印象を与えています。これは経済的な理由から設けられた最小限の駐車スペースなんです。

周辺環境との関係性から配置を検討する

緩やかに傾斜した土地で周囲は木々の緑が美しい恵まれた環境ですね。木立を介して瀟洒な佇まいを見せています。広い敷地の中でどのように建物を配置するのか検討する場合、周囲の環境を手がかりにするのも解決策の一つです。この家の特徴としてドーマー窓が設けられています。三角屋根の屋根裏を生かして居室を確保しているので、雰囲気のあるドーマー窓から採光を取ることにしました。

キャンティレバーで駐車スペースを確保

どこか懐かしい風合いの外壁とモダンな建築技術としてのキャンティレバーが作り出す造形がお互いの特徴を強調し、ユニークな外観を形成しています。自然の中で繰り広げられるプリミティブな生活にマッチしたミニマルなデザインですね。

シンプルなインテリアで借景を楽しむ

室内です。LDKが一体化した動線に無駄のない使いやすいプランを採用しています。屋外に広がる美しい風景を最大限に享受できる 木を中心に自然素材を生かしたシンプルなインテリア計画ですね。決して広くない建築面積ですが、大きな開口が内部を外部空間に繋ぎ、点在する木々が奥行きをもたらしてくれます。

テラスと一体化する内部空間

異なる方角に配置した大きな開口からは否応なしに圧倒的な自然の風景が飛び込んできます。開口を開ければテラスと一体化したリビングが生まれ、外空間でのアクティビティも楽しくなりそうですね。

寒い地域では薪ストーブは必需品!

人気の薪ストーブを設置しています。八ヶ岳は冬はかなり厳しい寒さに見舞われるので機能的でかつお洒落な薪ストーブは身体にも良い暖を提供してくれ、冬でも十分快適な山荘暮らしが送れそうですね。天井をくり抜いて屋根裏を通って伸びる煙突によって家中にぽかぽかと暖かさが行き渡る仕組みになっているんです。

美しすぎる片持ち階段

ハンドクラフト的なディテールが美しいミニマルな片持ち階段です。薄い板が醸し出す繊細さとシンプルなスチールの手摺がぴったりですね。手の触れるところが冷たくないように板を貼っているところが建築家の腕の見せどころと言えるのでは?様々な肌質と色調を見せる木素材が奏でる心地良い空間が日常の忙しない生活を忘れさせてくれるようです。

小さな窓が生み出す効果

2階です。借景を生み出す細いドーマー窓と小さな窓が空間のアクセントとなりつつ、やや閉じたデザインが厳しい外部環境から守られているような感覚さえもたらします。シンプルな造作の棚を設えており、きっとここでの生活は必要最小限のものだけで成り立ってしまうのでしょう。美しい眺めや美味しい空気が何よりの贅沢なのかもしれませんね。

森林浴と入浴が同時にできる!

もちろん入浴タイムにもこんな贅沢な眺めが享受できるんです。開口を開ければ直接テラスにもアクセス可能。シンプルに仕上げた浴室は置き型のお洒落なバスタブと透明度の高いガラス板で仕切った開放的な空間に仕上がっています。

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